株式会社ヤマダコーポレーションの2026年3月期第1四半期連結決算は、売上高が前年同期比0.6%増の37.21億円と微増に留まったものの、営業利益は同25.8%増の6.49億円、経常利益は同14.0%増の6.53億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同14.9%増の4.72億円と、大幅な増益を達成した。これは、売上総利益が8.4%増加したことによる利益率の改善が主な要因である。世界経済の不透明感は残るものの、インダストリアル部門の堅調な推移が全体を牽引した。通期業績予想は据え置きであり、第1四半期としては堅調なスタートを切ったと評価できる。株主還元については、2026年3月期の年間配当金予想は前年と同額の210円(中間100円、期末110円)を維持している。自己株式取得に関する具体的な発表はなかった。
2026年3月期第1四半期連結累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比でわずかに増加した一方で、利益面では大幅な改善を見せた。売上総利益の増加が寄与し、営業利益、経常利益、純利益ともに二桁成長を達成した。特に営業利益は25.8%増と大きく伸長し、収益性の向上が顕著である。世界経済の不透明な状況が続く中、堅調な利益成長を維持したことは評価できる。
指標 | 2026年3月期1Q(累計) | 2025年3月期1Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 37.21億円 | 37.00億円 | 0.6% |
売上総利益 | 17.51億円 | 16.15億円 | 8.4% |
営業利益 | 6.49億円 | 5.16億円 | 25.8% |
経常利益 | 6.53億円 | 5.73億円 | 14.0% |
純利益 | 4.72億円 | 4.11億円 | 14.9% |
オートモティブ事業が占める全社売上割合は22.0%である。当第1四半期連結累計期間において、オートモティブ部門の売上高は8.17億円(前年同期比1.6%増)と微増となった。国内販売は計画値をやや下回ったものの、前年同期比では増加を維持した。世界経済の動向としては、米国における個人消費の堅調さや欧州の緩やかな回復傾向が継続しているものの、米政権の経済政策の予見可能性が低く、不透明な状況が続いている。この事業は、自動車関連市場の動向に大きく左右されるため、今後の市場環境の変化に注視が必要である。
インダストリアル事業が占める全社売上割合は66.6%である。当第1四半期連結累計期間において、インダストリアル部門の売上高は24.78億円(前年同期比2.1%増)と堅調に推移した。主力製品であるダイアフラムポンプの海外売上において、前第1四半期比では為替の影響を受けたものの、米国関税政策の影響は限定的に留まった。日本経済においては、製造業が米関税政策の影響を大きく受けたものの、内外需ともに目立った悪化は見られず、設備投資は底堅く推移したことから、緩やかな回復傾向を保っている。この事業は、同社グループの売上高の大部分を占めており、その安定的な成長が全体の業績を支えている。
その他の部門が占める全社売上割合は11.4%である。当第1四半期連結累計期間において、サービス部品や修理売上などのその他の部門の売上高は4.25億円(前年同期比9.3%減)となった。この部門は減収となったが、全社業績への影響は限定的である。
当第1四半期連結累計期間において、連結範囲に重要な変更はなく、新規のM&Aや事業/資本提携に関する具体的な動向は確認されていない。
2026年3月期の全社業績予想は、2025年5月12日に公表された内容から修正されず、据え置きとなった。第1四半期連結累計期間の実績は、通期業績予想に対して堅調な進捗を示している。
指標 | 通期予想 | 進捗率(1Q) |
---|---|---|
売上高 | 149.00億円 | 25.0% |
営業利益 | 18.00億円 | 36.1% |
経常利益 | 19.00億円 | 34.4% |
純利益 | 14.20億円 | 33.2% |
当第1四半期連結会計期間末における総資産は195.44億円となり、前連結会計年度末に比べ2.42億円の増加となった。これは主に建設仮勘定の増加(6.39億円)や商品及び製品の増加(2.50億円)によるものである。負債合計は26.87億円となり、前連結会計年度末に比べ0.87億円の増加となった。純資産合計は168.57億円となり、前連結会計年度末に比べ1.54億円の増加となった。この結果、自己資本比率は84.8%と高い水準を維持している。
キャッシュフローの状況を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは9.55億円の純収入となり、前年同期の1.99億円の純収入から大幅に増加した。これは主に売上債権の減少や税金等調整前四半期純利益の増加が寄与した。投資活動によるキャッシュ・フローは△6.09億円の純支出となり、有形固定資産の取得による支出が主な要因である。財務活動によるキャッシュ・フローは△3.44億円の純支出となり、長期借入金の返済や配当金の支払いが主な要因である。これらの結果、現金及び現金同等物は40.80億円となり、前連結会計年度末に比べ0.16億円の減少となった。
配当
自己株式取得
株主優待
株式会社ヤマダコーポレーションの2026年3月期第1四半期決算は、売上高の微増に留まったものの、利益面では大幅な改善を見せ、堅調なスタートを切ったと評価できる。営業利益、経常利益、純利益が二桁成長を達成したことは、収益構造の改善が進んでいることを示唆しており、投資家にとってはポジティブな要素である。
しかしながら、世界経済の不透明感は依然として残る。米国では経済政策の予見可能性が低く、欧州や中国でも実質GDP成長率の減速が見られる。日本経済も製造業が米関税政策の影響を受けるなど、外部環境は依然として不安定である。このような状況下で、同社が通期業績予想を据え置いたことは、現在の利益成長が持続可能であるとの自信の表れとも解釈できるが、同時に慎重な姿勢も伺える。
事業セグメント別に見ると、売上高の大部分を占めるインダストリアル部門が堅調に推移している点は強みである。主力製品であるダイアフラムポンプの海外売上が為替の影響を受けつつも、関税政策の影響を限定的に抑えられたことは、同社のグローバル展開におけるリスク管理能力を示している。一方で、オートモティブ部門の国内販売が計画を下回ったことや、その他の部門が減収となった点は、今後の課題として注視が必要である。
財務状態は自己資本比率84.8%と非常に健全であり、キャッシュフローも営業活動による純収入が大幅に増加していることから、事業活動による資金創出力は高い。これにより、今後の設備投資や成長戦略への資金投入余力は十分にあると考えられる。
投資家目線では、利益率の改善と堅調なキャッシュフローはポジティブな材料である。しかし、売上高の伸びが鈍化している点や、世界経済の不透明感が事業環境に与える影響は引き続き懸念材料となる。通期業績予想の達成に向けては、インダストリアル部門の堅調さを維持しつつ、オートモティブ部門やその他の部門の売上回復、そして外部環境の変化への柔軟な対応が鍵となるだろう。現状の利益成長を維持し、売上高の成長を加速させることができれば、企業価値のさらなる向上に繋がる可能性を秘めている。
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