ERIホールディングス株式会社の2026年5月期第1四半期決算は、売上高53.83億円(前年同期比31.1%増)、営業利益8.68億円(同549.5%増)、経常利益8.77億円(同443.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益5.21億円(同890.5%増)と、大幅な増収増益を達成した。これは、法改正による省エネ関連業務の増加、手数料改定、およびM&Aによる新規連結子会社の業績寄与が主な要因である。特に営業利益、経常利益、純利益は前年同期から大きく改善し、非常に好調なスタートを切った。
事業セグメントでは、「確認検査及び住宅性能評価関連事業」が売上高43.95億円、営業利益9.18億円と堅調に推移し、全社業績を牽引した。「インフラストック及び環境関連事業」もM&Aによる新規連結子会社の寄与で売上高9.28億円と大幅に増加し、営業損失も前年同期から改善した。
株主還元については、2026年5月期の年間配当予想を1株当たり70円(中間35円、期末35円)と公表しており、前年同期の60円から増配を計画している。自己株式取得や株主優待に関する新たな発表は確認されていない。
全体として、今回の決算発表は、法改正による追い風とM&A戦略が奏功し、全社的に非常にポジティブな内容であった。特に利益面での大幅な改善は、投資家にとって高く評価されるものと判断する。
2026年5月期第1四半期累計期間の全社業績は、売上高、各利益項目ともに前年同期を大幅に上回る結果となった。新設住宅着工戸数の減少という市場環境下においても、省エネ基準適合義務化に伴う業務量増加や手数料改定、M&Aによる新規連結子会社の貢献が売上高を押し上げた。営業費用は人件費や新規連結子会社費用増加により増加したが、売上高の伸びがこれを大きく上回り、利益率が大幅に改善した。
指標 | 2026年5月期1Q(累計) | 2025年5月期1Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 53.83億円 | 41.07億円 | 31.1% |
営業利益 | 8.68億円 | 1.33億円 | 549.5% |
経常利益 | 8.77億円 | 1.61億円 | 443.9% |
純利益 | 5.21億円 | 0.52億円 | 890.5% |
確認検査及び住宅性能評価関連事業は、全社売上高の約81.6%を占める。当第1四半期累計期間において、建築確認検査業務は法改正による業務量増加、手数料改定、および省エネ適合判定業務に係る売上の増加により、売上高は前年同期比23.2%増の43.95億円を計上した。営業利益も前年同期比286.1%増の9.18億円と大幅な増益を達成し、全社業績を牽引する主要なドライバーとなっている。2025年4月の改正建築物省エネ法等施行により、住宅を含む全ての新築建築物に省エネ基準への適合が義務づけられたことが、省エネ適合判定や住宅性能評価の交付件数増加に直結し、このセグメントの好調な業績に大きく貢献した。市場全体の新設住宅着工戸数が減少する中でも、法改正による需要増を確実に捉え、収益性を向上させている。
インフラストック及び環境関連事業は、全社売上高の約17.2%を占める。当第1四半期累計期間において、前連結会計年度に新規連結子会社化した3社に係る売上の増加等により、売上高は前年同期比92.3%増の9.28億円と大幅な増収となった。営業利益は、新規連結子会社の営業費用増加があったものの、営業損失は39百万円(△0.39億円)となり、前年同期の営業損失1.29億円(△1.29億円)から損益が改善した。このセグメントは、建築ストック関連事業に加え、建設コンサルタント、土木測量、環境関連、BIM/CIMのモデリングなど社会資本整備を担う事業として位置づけられている。M&Aによる事業領域拡大が売上高の増加に寄与し、将来的な収益改善への期待が高まる。
ERIホールディングス株式会社は、2025年6月2日付で株式会社ERI検査センター(旧社名 株式会社タイトー建築・設備検査センター)の株式を取得し、子会社化した。この企業結合は、当社グループが創立以来掲げる「住宅・建築物に関する第三者検査機関として、安全・安心な街づくりに貢献する」という社会的使命を果たすとともに、土木インフラ関連や環境関連分野に至る、より広いフィールドにおいて社会の安全・安心を支える企業となることを目指す事業推進の一環である。株式会社ERI検査センターは、建築基準法第12条に定める建築設備の定期検査、特定建築物定期調査など、既存建築物の安全を支える点検・調査業務を専門に扱う会社であり、そのグループ参画を契機に、建築基準法12条定期報告業務を拡大できる適切な体制を迅速に構築する方針である。このM&Aにより、当第1四半期連結累計期間において「インフラストック及び環境関連事業」の資産として、のれんが6.27億円増加した。取得原価は3.28億円であり、今後の事業展開において期待される将来の超過収益力として1.13億円ののれんが発生し、5年間にわたる均等償却が予定されている。この戦略的なM&Aは、事業領域の拡大と既存事業とのシナジー創出を通じて、企業価値向上に貢献すると見込まれる。
2026年5月期の通期連結業績予想は、2025年7月8日付で公表された内容から変更なく据え置きである。第1四半期累計期間の実績は、通期予想に対して順調な進捗を示している。
指標 | 通期予想 | 進捗率(1Q) |
---|---|---|
売上高 | 227.00億円 | 23.7% |
営業利益 | 28.00億円 | 31.0% |
経常利益 | 28.00億円 | 31.3% |
純利益 | 17.00億円 | 30.6% |
当第1四半期連結会計期間末における総資産は139.51億円となり、前連結会計年度末に比べ5.16億円増加した。これは主に流動資産が4.17億円、固定資産が0.99億円増加したことによる。流動資産の増加は、売掛金及び契約資産の減少があったものの、現金及び預金が18.98億円増加したことが主な要因である。固定資産の増加は、有形固定資産が0.40億円、のれんが0.66億円増加したことによる。
負債合計は72.71億円となり、前連結会計年度末に比べ2.21億円増加した。これは主に長期借入金が6.29億円、短期借入金が3.00億円、契約負債が1.89億円増加した一方で、未払金が3.25億円、1年内返済予定の長期借入金が2.90億円、未払費用が1.15億円、未払法人税等が1.51億円減少したことによる。
純資産は66.79億円となり、前連結会計年度末に比べ2.94億円増加した。これは利益剰余金の増加等によるものである。自己資本比率は47.6%と、前連結会計年度末の47.2%から微増し、安定した財務基盤を維持している。なお、当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。
配当
自己株式取得
自己株買い
株主優待
ERIホールディングス株式会社の2026年5月期第1四半期決算は、売上高、各利益項目ともに前年同期を大幅に上回る非常に好調な結果であり、投資家にとっては極めてポジティブな内容と評価できる。特に、営業利益が549.5%増、純利益が890.5%増という驚異的な伸びは、同社の事業戦略が市場環境の変化に的確に対応していることを示している。
この好調な業績の背景には、2025年4月に施行された改正建築物省エネ法による省エネ基準適合義務化という法改正の追い風がある。これにより、同社の主力事業である「確認検査及び住宅性能評価関連事業」において、省エネ適合判定や住宅性能評価の交付件数が大幅に増加し、売上高と利益を大きく押し上げた。新設住宅着工戸数の減少という逆風がある中で、法改正による新たな需要を確実に捉え、収益機会に変えている点は、同社の事業ポートフォリオの強靭性を示すものと言える。
また、2025年6月に実施した株式会社ERI検査センターのM&Aも、今後の成長ドライバーとして期待される。このM&Aにより、「インフラストック及び環境関連事業」の売上高が大幅に増加し、営業損失も改善傾向にある。既存建築物の点検・調査業務という新たな領域への進出は、同社の事業領域を拡大し、社会インフラの老朽化対策や脱炭素社会の実現といった社会的課題解決への貢献を通じて、持続的な企業価値向上に繋がる可能性を秘めている。M&Aによるのれん発生額も適切に計上されており、今後のシナジー効果の発現が注目される。
通期業績予想は据え置きであるものの、第1四半期累計期間で売上高23.7%、営業利益31.0%、経常利益31.3%、純利益30.6%と、いずれも30%前後の高い進捗率を達成しており、通期目標達成への確度が高いことを示唆している。このペースが維持されれば、通期業績の上方修正の可能性も視野に入り、投資家にとってはさらなる株価上昇の期待材料となる。
財務状態も安定しており、自己資本比率も微増していることから、今後の事業拡大に向けた投資余力も十分にあると判断できる。配当についても増配予想を発表しており、株主還元への意欲も高く、投資家にとって魅力的な企業であると言える。
総じて、今回の決算発表は、法改正による事業機会の最大化、M&Aによる戦略的な事業領域拡大、そして堅調な財務基盤が相まって、同社の成長軌道が明確になったことを示すものであり、投資家目線では非常にポジティブな評価が与えられる。今後も、中期経営計画に基づいた中核事業強化と事業領域拡大の両輪で、持続的な企業価値向上を目指す同社の動向に注目が集まる。
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