三協立山株式会社の2026年5月期第1四半期連結累計期間の決算は、売上高が前年同期比で減少しただけでなく、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益がいずれも赤字に転落し、大幅な減益となった。売上高は858.55億円(前年同期比△3.0%減)となり、営業利益は△11.64億円、経常利益は△12.07億円、純利益は△6.87億円を計上した。前年同期はそれぞれ5.44億円、5.31億円、0.42億円の黒字であったため、業績は大きく悪化した。この結果、通期業績予想に対する進捗率は売上高で23.2%に留まり、利益項目は全てマイナス進捗となっている。特に純利益の進捗率は△229.0%と、通期黒字予想に対して厳しいスタートとなった。財務状態では、総資産が前連結会計年度末に比べて15.87億円減少し、純資産は微増、自己資本比率は30.7%とほぼ横ばいで推移している。配当については、2026年5月期の年間配当金は1株当たり25.00円(期末12.50円)の予想を据え置いている。全体として、今回の決算発表は投資家にとってネガティブな内容であったと評価できる。
2026年5月期第1四半期連結累計期間の全社業績は、売上高が前年同期比で減少しただけでなく、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益の全てが赤字に転落し、大幅な業績悪化を記録した。売上高は858.55億円となり、前年同期の885.43億円から3.0%減少した。利益面では、営業利益が前年同期の5.44億円の黒字から△11.64億円の赤字へ、経常利益も5.31億円の黒字から△12.07億円の赤字へ、親会社株主に帰属する四半期純利益も0.42億円の黒字から△6.87億円の赤字へと、それぞれ大きく落ち込んだ。これは、前年同期と比較して営業利益で△314.0%減、経常利益で△327.1%減、純利益で△1735.7%減という極めて厳しい結果であり、事業環境の悪化やコスト増などが影響したと推測される。
指標 | 2026年5月期1Q(累計) | 2025年5月期1Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 858.55億円 | 885.43億円 | △3.0% |
売上総利益 | 158.44億円 | 176.85億円 | △10.4% |
営業利益 | △11.64億円 | 5.44億円 | △314.0% |
経常利益 | △12.07億円 | 5.31億円 | △327.1% |
純利益 | △6.87億円 | 0.42億円 | △1735.7% |
建材事業の外部顧客への売上高は414.31億円となり、全社売上高の約48.3%を占める。前年同期の439.47億円と比較して売上高は減少した。セグメント利益は△13.66億円の赤字を計上し、前年同期の△4.40億円の赤字から赤字幅が拡大した。これは、市場環境の厳しさや競争激化、原材料価格の高騰などが影響している可能性が高い。売上高の減少と利益の悪化は、事業全体の収益性を圧迫する主要因となっている。
マテリアル事業の外部顧客への売上高は151.78億円となり、全社売上高の約17.7%を占める。前年同期の138.75億円と比較して売上高は増加した。しかし、セグメント利益は1.67億円を計上し、前年同期の6.25億円と比較して大幅な減益となった。売上高は増加したものの、利益率の低下が顕著であり、コスト管理や価格戦略の見直しが課題となっている可能性がある。
商業施設事業の外部顧客への売上高は99.55億円となり、全社売上高の約11.6%を占める。前年同期の103.81億円と比較して売上高は減少した。セグメント利益は△0.31億円の赤字を計上し、前年同期の2.88億円の黒字から赤字に転落した。売上高の減少に加え、利益が赤字に転じたことは、商業施設関連の投資抑制や競争環境の厳しさ、あるいはプロジェクトの遅延などが影響している可能性が考えられる。
国際事業の外部顧客への売上高は191.89億円となり、全社売上高の約22.4%を占める。前年同期の202.74億円と比較して売上高は減少した。セグメント利益は0.99億円を計上し、前年同期の1.21億円と比較して減益となった。海外市場における需要の変動や為替の影響、あるいは競争環境の変化などが売上高の減少と利益の圧迫に繋がったと推測される。
その他事業の外部顧客への売上高は1.00億円となり、全社売上高の約0.1%を占める。前年同期の0.64億円と比較して売上高は増加した。セグメント利益は△0.16億円の赤字を計上し、前年同期の△0.31億円の赤字から赤字幅は縮小した。このセグメントには賃貸事業や植物工場事業などが含まれる。
当第1四半期連結会計期間の期首より、持分法非適用関連会社である三協大同鋁業股份有限公司が重要性を増したため、連結の範囲に含めている。この連結範囲の変更は、企業の事業ポートフォリオや財務状況に一定の影響を与える可能性がある。
2026年5月期の通期連結業績予想は、2025年7月10日に公表された内容から修正はなく、据え置きとなっている。しかし、第1四半期連結累計期間の実績は、売上高が前年同期比で減少しただけでなく、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益の全てが赤字に転落しており、通期予想に対する進捗率は極めて低い水準にある。特に利益項目はマイナス進捗となっており、今後の四半期で大幅な業績改善が求められる状況である。
指標 | 通期予想 | 進捗率(1Q) |
---|---|---|
売上高 | 3700.00億円 | 23.2% |
営業利益 | 40.00億円 | △29.1% |
経常利益 | 20.00億円 | △60.4% |
純利益 | 3.00億円 | △229.0% |
当第1四半期連結会計期間末の総資産は2,988.66億円となり、前連結会計年度末に比べて15.87億円減少した。この減少は、受取手形、売掛金及び契約資産が50.62億円減少したことが主な要因である。一方で、投資有価証券が14.89億円、未収入金等のその他流動資産が11.95億円、建設仮勘定等の有形固定資産が10.81億円それぞれ増加した。負債は2,034.77億円となり、前連結会計年度末に比べて21.71億円減少した。これは、設備関係電子記録債務等のその他流動負債が61.44億円、長期借入金が22.81億円、支払手形及び買掛金が20.16億円、電子記録債務が11.03億円それぞれ減少したことが主な要因である。短期借入金は90.23億円増加した。純資産は953.88億円となり、自己資本比率は30.7%であった。キャッシュフロー計算書は作成されていない。
配当
三協立山株式会社の2026年5月期第1四半期決算は、売上高の減少に加え、営業利益、経常利益、純利益の全てが赤字に転落するという厳しい結果となった。この状況下で通期業績予想を据え置いていることは、投資家にとって非常にネガティブな要素と捉えられる。第1四半期の実績が通期予想に対して大幅なマイナス進捗を示していることから、残りの四半期で劇的な業績改善がなければ、通期目標の達成は極めて困難であると判断される。
特に、主力の建材事業が売上高の減少と赤字幅の拡大に直面している点は懸念材料である。国内の建設需要の動向や原材料価格の変動、競争環境の激化が引き続き事業に影響を与える可能性が高い。マテリアル事業や商業施設事業、国際事業も減益または赤字転落しており、各セグメントでの収益性改善が急務である。
会社側は業績予想を据え置いているものの、その達成には相当な努力と外部環境の好転が必要となる。投資家としては、今後の四半期で具体的な収益改善策やコスト削減効果がどれだけ発現するか、また市場環境がどのように変化するかに注目する必要がある。現状の進捗率から判断すると、通期予想の下方修正リスクは高いと見られ、企業価値の観点からも慎重な評価が求められる。ポジティブな要素としては、連結範囲に三協大同鋁業股份有限公司を含めたことによる将来的なシナジー効果が期待されるが、短期的には業績への貢献は限定的である可能性が高い。
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