note株式会社の2025年11月期第3四半期累計期間の決算は、売上高30億円、営業利益1億円、経常利益1億円、純利益2億円と、前年同期と比較して大幅な増益を達成し、総じて非常に好調な結果となった。特に純利益は前年同期比344.2%増と大きく伸長した。主力のメディアプラットフォーム事業が堅調に推移し、会員登録者数や流通総額、ARR(年間経常収益)が着実に増加。また、2024年5月に連結子会社化したTales & Co. 株式会社によるIP・コンテンツクリエーション事業も売上高が急増し、新たな成長ドライバーとして貢献している。これらの好調な業績を受け、通期連結業績予想は上方修正されており、投資家にとってはポジティブな発表であった。株主還元については、配当予想は0.00円で修正はない。
2025年11月期第3四半期累計期間の全社業績は、メディアプラットフォーム事業の堅調な成長と、IP・コンテンツクリエーション事業の拡大が牽引し、売上高、各利益項目ともに前年同期を大幅に上回る結果となった。特に営業利益は前年同期比271.3%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は同344.2%増と、収益性が大きく改善した。これは、プラットフォームの機能改善によるユーザー・コンテンツの増加や、法人向けサービスの利用企業増加が寄与した。
指標 | 2025年11月期3Q(累計) | 2024年11月期3Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 30億円 | 25億円 | 23.8% |
調整後EBITDA | 2億円 | 1億円 | 199.3% |
営業利益 | 1億円 | 0億円 | 271.3% |
経常利益 | 1億円 | 1億円 | 179.2% |
純利益 | 2億円 | 0億円 | 344.2% |
メディアプラットフォーム事業は全社売上高の約98.35%を占める。 当第3四半期累計期間において、メディアプラットフォーム事業は売上高29億円(前年同期比21.9%増)、セグメント利益1億円(前年同期比142.8%増)と堅調な成長を継続した。CtoCメディアプラットフォーム「note」では、継続的な機能改善によりユーザーとコンテンツが順調に増加しており、2025年8月末時点の累計会員登録者数は1,052万人、公開コンテンツ数は6,407万件に達した。流通総額は55億円(前年同期比27.4%増)と高水準で推移している。法人向け情報発信メディアSaaS「note pro」も、機能拡充や営業活動の強化、noteのサービス成長に伴う認知度向上により利用企業が増加し、2025年8月末時点のARR(年間経常収益)は6億円(前年同期比23.9%増)となった。法人向けサービスでは「noteコンテスト」案件が堅調に推移。さらに、金融・投資情報サイト「noteマネー」を2025年3月に、物語投稿サイト「TALES」を2025年4月にリリースするなど、新サービスの提供も積極的に進めている。
IP・コンテンツクリエーション事業は全社売上高の約1.65%を占める。 当第3四半期累計期間において、IP・コンテンツクリエーション事業は売上高0億円(前年同期比1,241.7%増)、セグメント損失は△0億円(前年同期は△0億円のセグメント損失)となった。本事業は、クリエイターの企画や作品のエージェント、コンテンツ制作・販売、外部企業からの企画・コンテンツ制作受託などに取り組んでいる。2024年5月にTales & Co. 株式会社を連結子会社化したことにより、本セグメントが新設され、売上高が大幅に増加した。まだセグメント損失を計上しているものの、前年同期の損失額と比較すると改善傾向にあり、今後の成長が期待される。
note株式会社は、2024年5月にTales & Co. 株式会社を連結子会社化した。これにより、従来の「メディアプラットフォーム事業」に加え、「IP・コンテンツクリエーション事業」を新たな報告セグメントとして追加し、事業領域の拡大を図っている。また、2025年1月29日付でGoogle International LLCから第三者割当増資の払込みを受け、資本金及び資本準備金がそれぞれ2億円増加し、財務基盤の強化と事業成長のための資金調達を実施した。さらに、2025年2月24日開催の第13期定時株主総会決議により、欠損填補を目的とした資本金及びその他資本剰余金の減少を実施し、財務体質の改善を図っている。
2025年11月期の通期連結業績予想は、第3四半期までの実績と今後の見通しを勘案し、2025年1月14日発表時から上方修正された。各事業が順調に進捗していることが上方修正の主な要因である。
指標 | 通期予想 | 進捗率(3Q) |
---|---|---|
売上高 | 41億円 | 73.8% |
営業利益 | 2億円 | 63.5% |
経常利益 | 2億円 | 66.2% |
純利益 | 3億円 | 64.2% |
当第3四半期連結会計期間末における総資産は60億円となり、前連結会計年度末と比較して22億円増加した。これは主に、流動資産が11億円増加し、現金及び預金が7億円、未収入金が3億円増加したことによる。また、固定資産も10億円増加し、主に投資有価証券が10億円増加した。負債合計は32億円となり、前連結会計年度末と比較して11億円増加した。流動負債は5億円増加し、主に預り金が4億円、1年内返済予定の長期借入金が0億円増加した。固定負債は6億円増加し、主に長期借入金が6億円増加した。純資産合計は27億円となり、前連結会計年度末と比較して10億円増加した。これは主に、Google International LLCからの第三者割当増資による資本剰余金2億円増加、利益剰余金5億円増加、その他有価証券評価差額金2億円増加によるものである。四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。
配当
note株式会社の2025年11月期第3四半期決算は、通期業績予想の上方修正を伴う非常にポジティブな内容であり、投資家にとって魅力的な見通しを示している。主力のメディアプラットフォーム事業は、会員登録者数1,052万人、公開コンテンツ数6,407万件、流通総額55億円、ARR6億円と、主要KPIが着実に成長しており、プラットフォームとしての基盤が強化されている。特に「note pro」のARR成長は、法人向けサービスの需要拡大と収益の安定化を示唆し、今後の収益貢献への期待を高める。
また、2024年5月に連結子会社化したTales & Co. 株式会社によるIP・コンテンツクリエーション事業は、売上高が前年同期比1,241.7%増と急成長しており、新たな収益源としての可能性を強く示している。まだセグメント損失を計上しているものの、この急成長は将来的な収益化と企業価値向上に大きく寄与する潜在力を秘めている。
財務面では、Google International LLCからの第三者割当増資により資本金及び資本準備金がそれぞれ2億円増加し、財務基盤が強化されたことは、今後の事業拡大や投資戦略において大きな強みとなる。欠損填補のための資本金減少も、財務体質の健全化に向けた取り組みとして評価できる。
通期業績予想の上方修正は、これまでの事業進捗が計画を上回っていることを明確に示しており、残りの期間も好調を維持する可能性が高い。経済全体の不透明感は残るものの、note株式会社はクリエイターエコノミーという成長市場において、強力なプラットフォームと新たな事業領域の開拓を通じて、持続的な成長を実現する見込みである。これらの要因を総合的に考慮すると、note株式会社の今後の見通しは非常に明るく、投資家にとっては引き続き注目すべき企業であると言える。
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