積水ハウス株式会社は、2026年1月期第2四半期(中間期)において、売上高は前年同期比8.4%増の2兆154億8百万円、営業利益は同1.1%減の1,554億7千3百万円となった。経常利益は同7.2%減の1,366億円、親会社株主に帰属する中間純利益は同17.4%減の1,016億3百万円となった。 請負型ビジネスでは、戸建住宅事業が堅調に推移し、価格レンジ別戦略やZEH仕様の推進が奏功した。ストック型ビジネスでは、賃貸住宅管理事業が管理受託戸数の増加により増収増益となった。開発型ビジネスでは、仲介・不動産事業がグループ統合による情報共有強化で売却が順調に進捗したが、都市再開発事業は大型物件の売却が前期に比べて減少した。国際事業は米国戸建住宅事業の買収効果で増収となったものの、金利高止まり等の影響で利益率は低下した。 全体として、国内事業は堅調に推移したが、海外事業の収益性が低下したことが業績に影響した。株主還元については、2026年1月期の年間配当予想は144円(中間配当72円、期末配当72円)となっている。
積水ハウス株式会社の2026年1月期第2四半期(中間期)の連結業績は、売上高が前年同期比8.4%増の2兆154億8百万円となった。これは、国内の請負型ビジネスにおける戸建住宅事業や賃貸・事業用建物事業の堅調な推移、および国際事業における米国戸建住宅事業の買収効果によるものである。一方、営業利益は同1.1%減の1,554億7千3百万円、経常利益は同7.2%減の1,366億円、親会社株主に帰属する中間純利益は同17.4%減の1,016億3百万円となった。これは、主に海外事業における金利高止まりや関税政策等による需要鈍化の影響、およびのれん償却費の計上等によるものである。
指標 | 2026年1月期(中間期) | 2025年1月期(中間期) | 前年同期比 |
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売上高 | 2,015,408百万円 | 1,859,127百万円 | 8.4% |
営業利益 | 155,473百万円 | 157,141百万円 | △1.1% |
経常利益 | 136,600百万円 | 147,176百万円 | △7.2% |
親会社株主に帰属する中間純利益 | 101,603百万円 | 122,983百万円 | △17.4% |
請負型ビジネスは、全社売上高の約33.5%を占める。 戸建住宅事業 戸建住宅事業の売上高は2,382億5千3百万円(前年同期比3.3%増)、営業利益は243億6千4百万円(前年同期比17.2%増)となった。お客様の「感性」を住まいに映し出すデザイン提案システム「life knit design」の活用や、グループ連携による提案力の向上、生産から出荷までの邸別生産体制の強化等の取り組みに加え、政府による「子育てグリーン住宅支援事業」等の後押しもあり、受注は堅調に推移した。価格レンジ別戦略として、2ndレンジ商品における分譲地との一体提案や、3rdレンジ商品における「DESIGN OFFICEチーム」によるブランディング推進など、中高級商品の拡販に注力した。また、1stレンジ商品においては、各パートナー企業が建築する木造住宅の基礎と構造躯体の施工を当社グループ各社が請け負う共同建築事業「SI事業」を積極的に推進し、国内の良質な住宅ストック形成に貢献した。2024年度において戸建住宅ZEH比率が96%と過去最高を更新したネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)「グリーンファースト ゼロ」をはじめ、大空間リビング「ファミリー スイート」、間取り連動スマートホームサービス「PLATFORM HOUSE touch」、家具・内装等の高付加価値提案も引き続き好評で、価格レンジ別戦略の深化により戸建住宅ブランドの強化を推進している。
賃貸・事業用建物事業 賃貸・事業用建物事業の売上高は2,787億4百万円(前年同期比6.2%増)、営業利益は423億7千4百万円(前年同期比12.0%増)となった。当社独自に選定した長期間にわたり入居需要が見込まれる都市部(S・Aエリア)を中心とした事業展開を推進し、特に駅近で利便性の高い地域(Sエリア)において、オリジナル構法を用いた3・4階建て賃貸住宅の拡販、ネット・ゼロ・エネルギーの賃貸住宅「シャーメゾンZEH」の普及に注力した。これらのエリアマーケティングに加え、高い入居率と賃料水準を実現するプライスリーダー戦略が奏功し、賃貸住宅の受注は好調に推移した。特に、「シャーメゾンZEH」においては、太陽光パネルが住戸ごとに接続されている入居者売電方式により、入居者が光熱費節約のメリットを実感できることが好評で、賃貸住宅受注に占めるZEH住戸割合が76%となった。また、ESGソリューション提案や法人の事業承継ニーズへの対応強化により、CRE(法人)・PRE(公共団体)事業における受注も好調に推移しており、戸建住宅事業で培ったノウハウをオフィス空間等に活用するネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)「グリーンファースト オフィス」をはじめとした非住宅分野の提案強化を推進している。
建築・土木事業 建築・土木事業の売上高は1,589億8千4百万円(前年同期比2.6%増)、営業利益は149億5千9百万円(前年同期比91.7%増)となった。建築・土木事業ともに、大型工事の順調な進捗や追加変更工事の獲得等が増収に寄与し、採算性が向上した。特に建築事業については、資材価格高騰や人件費増加等の受注価格への転嫁が進んだことに加え、大型官庁工事の採算が改善した。受注についても、良好な環境は継続しており、概ね計画通りに進捗しており、建築事業の大型官庁工事、土木事業の民間工事で受注が好調に推移した。
ストック型ビジネスは、全社売上高の約22.3%を占める。 賃貸住宅管理事業 賃貸住宅管理事業の売上高は3,578億1千2百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益は371億7千3百万円(前年同期比31.4%増)となった。S・Aエリアを中心とした好立地に供給する賃貸住宅「シャーメゾン」の継続的な受注と、当期より賃貸事業専門のグループ会社として営業を開始した積水ハウスシャーメゾンPM各社において、オーナー及び入居者に対してよりきめ細かなサービスの提供が可能となる体制整備が進んだこともあり、管理受託戸数が増加した。既存管理物件については、退室後における原状回復工事期間や新たな申込みから入居日までの期間など空室期間の短縮化を企図した戦略的なリーシング活動により高水準な稼働率を維持するとともに、リテナント時におけるバリューアップ等を通じた賃料上昇に注力している。また、アプリやブロックチェーンを用いた入退去手続きのワンストップ対応等のDX推進、入居後のトラブル対応サービスの拡充等により、入居者満足度及び「シャーメゾン」ブランド価値の向上に努めている。
リフォーム事業 リフォーム事業の売上高は928億8千5百万円(前年同期比1.3%減)、営業利益は140億2千8百万円(前年同期比2.1%増)となった。戸建住宅では、積水ハウスサポートプラス株式会社が当期より営業を開始したことにより、グループ連携がさらに深まりオーナーとのコミュニケーションが一層強化された。特に、家族構成やライフスタイルの変化に合わせた生活提案等の提案型リフォームにおいて、「life knit design」の思想を取り入れた大型リノベーション提案を強化するとともに、断熱改修や最新の省エネ・創エネ・蓄エネ設備等を導入する環境型リフォームにおいて、住生活空間に範囲を絞った「いどころ暖熱」や開口部の断熱改修を中心に国等の補助金を活用した提案を強化した。また、賃貸住宅では、エリア・間取り・築年数別にマーケット分析を実施し、オーナーの資産価値向上に資する最適なリノベーション等の提案や、入居者ニーズの変化をとらえた間取り変更や共用設備工事の提案に注力している。これらの取り組みにより、リフォーム事業全体の受注は好調に推移した。
開発型ビジネスは、全社売上高の約14.1%を占める。 仲介・不動産事業 仲介・不動産事業の売上高は2,000億1千万円(前年同期比14.2%増)、営業利益は154億5千7百万円(前年同期比0.5%減)となった。積水ハウス不動産株式会社においては、前期まで6社に分かれていた同事業を1社に統合したことにより、良質な販売用不動産の仕入や販売先開拓を強化するための情報・課題をより迅速に共有化する体制整備が進み、これまで以上に事業法人や金融機関など引合ルートの拡大や深化に取り組んだ結果、不動産事業については、住宅用地を中心とした販売用不動産の売却が順調に進捗した。仲介事業についても、当社グループ間の連携に加え、全国ネットワークと多彩な販売ルートの活用により堅調に推移している。
マンション事業 マンション事業の売上高は574億8千6百万円(前年同期比5.9%増)、営業利益は88億1千9百万円(前年同期比8.9%増)となった。「グランドメゾンThe 山手 253 Marks」(横浜市中区)、「グランドメゾン上町一丁目レジデンス」(大阪市中央区)の引渡しが順調に進むなど、販売物件の引渡しは計画通りに進捗した。当社が東京・名古屋・大阪・福岡の中心地を戦略エリアとして集中的に展開する分譲マンション「グランドメゾン」については、家庭部門の脱炭素化への貢献を目指して全住戸ZEH仕様とすることに加え、建物長寿命化の観点から進める長期優良住宅の認定実績が着実に積み上がっている。また、各物件の魅力を最大限に活かす企画の策定や、各戦略エリアに根差した情報発信拠点「GM BASE」を順次開設するなど、「グランドメゾン」のプレゼンスは着実に向上している。これらの取り組みが奏功し、「グランドメゾン福岡 鴻臚館前」(福岡市中央区)、「グランドメゾン武蔵小杉の杜」(川崎市中原区)等の販売が好調に推移した。
都市再開発事業 都市再開発事業の売上高は283億9千7百万円(前年同期比61.2%減)、営業利益は41億4千万円(前年同期比74.4%減)となった。大型物件の売却を積極的に進めた前期に比して減収となったが、計画通りに進捗しており、当社が保有を継続する物件については、「プライムメゾン」等の入居率が堅調に推移した。当社が一部を出資する特定目的会社において、持分法投資利益の計上が見込まれる保有不動産の売買契約を締結し、2025年5月に引渡しを完了した(第3四半期に計上予定)。JV9社で進めてきたJR大阪駅に隣接する大規模複合開発「グラングリーン大阪」(大阪市北区)については、2024年9月の先行まちびらきに続き、店舗・ホテル・オフィスの他、ウェルネス施設やMICE施設など多彩な機能を兼ね備えた南館が2025年3月にグランドオープンを迎えました。将来のパイプライン拡充に向けた開発用地の仕入れも順調に進捗している。
国際ビジネスは、全社売上高の約30.5%を占める。 国際事業 国際事業の売上高は6,143億8千1百万円(前年同期比26.8%増)、営業利益は155億6千8百万円(前年同期比48.5%減)となった。米国戸建住宅事業においては、2024年4月に買収したM. D. C. Holdings, Inc. の業績が当期初より貢献したことで受注・引渡は増加したものの、住宅ローン金利が依然として高止まりしていることに加え、米国経済の先行き不透明感が高まった影響もあり、顧客の様子見姿勢が強まったことを受けインセンティブを増加させたことや、のれんの償却額等の計上により利益率が低下した。一方、米国コミュニティ開発事業においては、好調だった前年同期と同水準の売上となり、堅調に推移した。また、米国賃貸住宅開発事業においては、積水ハウス・リート投資法人が組成したSPCに対して、「City Ridge」(ワシントンD.C.)の追加売却分を2025年6月に引渡し、また、「San Diego Court House Middle棟」(サンディエゴ)の売買契約を締結し、2025年7月に引渡しを完了した(第3四半期に計上予定)。オーストラリアにおいては、「Orchards Lumia棟」(シドニー)の引渡しが進捗し増収となった。
その他 その他の事業の売上高は76億2千8百万円(前年同期比10.4%増)、営業利益は15億5千5百万円(前年同期比18.8%増)となった。
積水ハウス株式会社は、2024年4月にM. D. C. Holdings, Inc. を買収し、米国戸建住宅事業における事業基盤を強化した。これにより、米国市場における販売・引渡しが増加した。また、ESGソリューション提案や法人の事業承継ニーズへの対応強化により、CRE(法人)・PRE(公共団体)事業における受注も好調に推移しており、積水ハウス・リート投資法人が組成したSPCによる「City Ridge」の追加売却や、「San Diego Court House Middle棟」の売買契約締結など、不動産開発事業においても積極的な動きを見せている。これらの取り組みは、将来の成長に向けた重要な戦略である。
2026年1月期の連結業績予想について、前回発表予想(A)から今回修正予想(B)への変更があった。売上高は4兆5,000億円から4兆3,310億円へ3.8%減額、営業利益は3,620億円から3,400億円へ6.1%減額、経常利益は3,390億円から3,210億円へ5.3%減額となった。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は2,320億円で据え置かれた。この修正は、国内事業の順調な進捗と国際事業における米国戸建住宅事業の足元の状況等を踏まえたものである。
指標 | 通期予想 | 進捗率(中間期) |
---|---|---|
売上高 | 4,331,000百万円 | 47.0% |
営業利益 | 340,000百万円 | 45.1% |
経常利益 | 321,000百万円 | 44.1% |
純利益 | 232,000百万円 | 100.0% |
該当する決算発表は中間決算のため、通期業績予想の記載はない。
2026年1月期中間連結会計期間末の資産合計は4兆6,625億4千5百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,463億3百万円減少した。これは、仕入債務や法人税等の支払いによる現金預金の減少等によるものである。負債合計は2兆7,248億5千8百万円となり、653億9千1百万円減少した。純資産合計は1兆9,376億8千6百万円となり、809億1千2百万円減少した。これは、親会社株主に帰属する中間純利益を計上したものの、配当金の支払いや為替換算調整勘定の減少等によるものである。
積水ハウス株式会社は、2026年1月期通期において、売上高4兆3,310億円、営業利益3,400億円、経常利益3,210億円、親会社株主に帰属する当期純利益2,320億円を見込んでいる。この見通しは、国内事業の堅調な推移を前提としているが、国際事業においては、米国経済の先行き不透明感や住宅ローン金利の高止まりの影響が継続する可能性があり、業績への影響が懸念される。特に、米国戸建住宅事業における利益率の低下は、今後の収益性を圧迫する要因となりうる。 一方で、同社は「国内の“安定成長”と海外の“積極的成長”」を基本方針とする第6次中期経営計画に基づき、ハード・ソフト・サービスを融合した様々な高付加価値提案を推進しており、これが今後の成長を牽引すると期待される。特に、戸建住宅事業におけるZEH仕様の推進や、賃貸住宅管理事業におけるDX推進、リフォーム事業における提案強化などは、顧客満足度向上と事業基盤強化に繋がるだろう。 投資家目線では、今回の決算発表は、国内事業の好調さを示す一方で、海外事業の収益性低下という懸念材料も浮き彫りになった形である。通期業績予想の修正はあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益は据え置かれた点はポジティブに捉えられる可能性がある。しかし、今後の為替変動や海外経済の動向によっては、さらなる業績への影響も考えられるため、引き続き注視が必要である。株主還元については、配当予想の据え置きは安定した株主還元姿勢を示すものと言える。全体としては、成長戦略の着実な実行と、外部環境の変化への対応力が、今後の企業価値向上における鍵となるだろう。
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