株式会社ダイサンの2026年4月期第1四半期連結決算は、売上高、各利益ともに前年同期を上回り、特に親会社株主に帰属する四半期純利益は大幅な増益を達成した。売上高は26.03億円(前年同期比1.8%増)、営業利益は0.42億円(同70.3%増)、経常利益は0.69億円(同88.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1.04億円(同168.7%増)となった。これは、連結決算開始以来で最も高い水準の業績であり、第4次中期経営計画に基づく「コア事業領域の深化」や「新規収益事業の創造」への取り組みが奏功した結果と評価できる。国内住宅市場の厳しい環境が続く中で、施工サービス事業の堅調な推移や、海外事業における新規連結子会社の貢献が業績を牽引した。通期業績予想は据え置きだが、第1四半期としては順調な滑り出しであり、投資家にとってはポジティブな決算発表であった。株主還元については、2026年4月期の年間配当予想は22.00円(中間11.00円、期末11.00円)と発表されている。
2026年4月期第1四半期連結累計期間の全社業績は、国内経済の緩やかな回復基調と、第4次中期経営計画に基づく戦略的取り組みが奏功し、売上高、各利益ともに前年同期を上回る結果となった。特に親会社株主に帰属する四半期純利益は大幅な増益を達成し、連結決算開始以来で最も高い水準を記録した。国内住宅市場の厳しい環境が続く中、施工サービス事業の堅調な推移や、海外事業における新規連結子会社の貢献が全体の業績を押し上げた。
指標 | 2026年4月期1Q(累計) | 2025年4月期1Q(累計) | 前年同期比 |
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売上高 | 26.03億円 | 25.56億円 | 1.8% |
営業利益 | 0.42億円 | 0.24億円 | 70.3% |
経常利益 | 0.69億円 | 0.36億円 | 88.5% |
純利益 | 1.04億円 | 0.38億円 | 168.7% |
施工サービス事業の売上高は17.91億円であり、全社売上高の約68.8%を占める。当第1四半期連結累計期間において、国内住宅業界では建設住宅着工戸数の減少が続く厳しい環境にあった。しかし、主要な取引先である大手ハウスメーカーからの住宅受注は前年同期並みの推移を維持した。これは、顧客に対するシェア拡大と適正価格での受注推進に注力した結果であり、売上高は前年同期比5.8%増、売上総利益は同9.5%増と、売上・利益ともに伸長した。この事業は、同社のコア事業として、市場環境の厳しさにもかかわらず、戦略的な取り組みにより安定した収益基盤を維持している。
製商品販売事業の売上高は2.84億円であり、全社売上高の約10.9%を占める。当第1四半期連結累計期間は、資材価格の高止まりとそれに伴うレンタル需要の高まり、市場における施工人員の不足などにより、市況全体で購買意欲が低位で推移した。中古品については、市中の需要から買い替えが滞ったことから全体では減収となった。しかし、ヒケ部材の売上が伸長したことにより、利益面では微増を達成した。具体的には、売上高は前年同期比8.0%減となったものの、売上総利益は同1.8%増と利益を確保した。市場環境の変化に対応し、製品構成の最適化を図ることで収益性を維持する戦略がうかがえる。
海外事業の売上高は5.14億円であり、全社売上高の約19.7%を占める。当第1四半期連結会計期間より、シンガポールにおいてプラントのメンテナンスを主とするGolden Light House Engineering Pte. Ltd.を連結範囲に含めた。海外子会社であるシンガポールでは、建設業を中心とした生産拡大動向により、景気は堅調に推移している。一方で、事業を取り巻く環境としては、主要な需要先である石油化学産業における環境規制の強化により投資抑制の動きが顕著である。このような状況の中、当事業においては、現地政府の施策を注視し、採算性の高い事業へのシフトを進めた。その結果、売上高は前年同期比4.9%減となったものの、売上総利益は同6.2%増と利益は伸長した。新規連結子会社の貢献が今後の成長ドライバーとなることが期待される。
当第1四半期連結累計期間において、連結範囲の重要な変更があった。具体的には、非連結子会社であったGolden Light House Engineering Pte. Ltd.を連結の範囲に含めた。これにより、海外事業セグメントにおいてのれん4,527千円が発生したが、重要性が乏しいと判断されたため、発生時に一括償却された。この連結は、海外事業の強化と拡大を目的としたものであり、特にシンガポールにおけるプラントメンテナンス事業の取り込みを通じて、同社のグローバル展開を加速させるものと想定される。
2026年4月期の全社業績予想は、前回の発表から修正はなく据え置きである。第1四半期連結累計期間の業績は順調に推移しており、特に純利益の進捗率が高い。
指標 | 通期予想 | 進捗率(1Q) |
---|---|---|
売上高 | 115.00億円 | 22.6% |
営業利益 | 4.20億円 | 10.0% |
経常利益 | 4.10億円 | 16.8% |
純利益 | 3.30億円 | 31.5% |
当第1四半期連結会計期間末の総資産は98.90億円となり、前連結会計年度末に比べ3.01億円減少した。これは主に流動資産が2.52億円減少したことによる。負債合計は43.35億円となり、前連結会計年度末に比べ2.90億円減少した。流動負債が3.86億円減少した一方で、固定負債は0.95億円増加した。純資産は55.55億円となり、前連結会計年度末に比べ0.10億円減少した。自己資本比率は56.2%と、前連結会計年度末の54.6%から改善している。キャッシュフロー計算書は作成されていないが、バランスシートの変動から、資産の効率的な運用と負債の圧縮が進んでいることが示唆される。
株式会社ダイサンの2026年4月期第1四半期決算は、売上高、各利益ともに前年同期を上回り、特に親会社株主に帰属する四半期純利益が大幅な増益を達成したことは、投資家にとって非常にポジティブな材料である。連結決算開始以来で最も高い水準の業績を記録したことは、同社の経営戦略が着実に成果を上げていることを示唆している。
国内経済は緩やかな回復基調にあるものの、米国の金融政策や地政学リスクによる不透明感は依然として残る。特に国内住宅業界は、建設住宅着工戸数の減少、建築資材価格の高止まり、人手不足、建築基準法改正の影響など、厳しい環境が継続すると見られる。このような状況下で、同社が第4次中期経営計画に基づき「コア事業領域の深化」、「新規収益事業の創造」、「経営基盤の強靭化」を推進していることは、持続的な成長に向けた強い意志を示すものと評価できる。
事業セグメント別に見ると、主力の施工サービス事業は、大手ハウスメーカーからの受注が堅調に推移し、シェア拡大と適正価格での受注推進により売上・利益ともに伸長している。これは、同社の競争力と顧客基盤の強さを示しており、今後も安定的な収益源となることが期待される。製商品販売事業は市場環境の厳しさから売上は減少したものの、ヒケ部材の伸長により利益面では微増を確保しており、市場の変化に対応した製品構成の最適化が進んでいると見られる。
海外事業においては、Golden Light House Engineering Pte. Ltd.の新規連結が大きな注目点である。シンガポールにおけるプラントメンテナンス事業の取り込みは、同社のグローバル展開を加速させ、新たな収益源を確保する可能性を秘めている。ただし、石油化学産業における環境規制強化など、海外事業を取り巻く環境には不透明な要素も存在するため、採算性の高い事業へのシフトを継続できるかが鍵となる。
通期業績予想は据え置きだが、第1四半期累計での売上高進捗率22.6%、営業利益進捗率10.0%、経常利益進捗率16.8%、純利益進捗率31.5%という数字は、純利益が通期予想に対して非常に高い進捗率を示している点が特に注目される。これは、利益率の高い案件の獲得やコスト管理の改善が進んでいる可能性を示唆しており、投資家にとっては安心材料となる。一方で、営業利益の進捗率が純利益に比べて低い点は、今後の販管費の動向や特別損益の発生に注意が必要かもしれない。
全体として、今回の決算発表は、厳しい市場環境下でも着実に業績を伸ばし、特に利益面で好調な滑り出しを見せた点でポジティブな印象を与える。中期経営計画の進捗も順調であり、海外事業の拡大も期待される。ただし、国内住宅市場の構造的な課題や海外事業のリスク要因も存在するため、今後の四半期ごとの進捗と、それらのリスク要因への対応策を注視することが、企業価値の持続的な向上を見極める上で重要となる。
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