ナトコ株式会社は、2025年10月期第3四半期連結決算において、売上高16,572百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益1,001百万円(前年同期比21.1%増)、経常利益1,018百万円(前年同期比8.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益790百万円(前年同期比23.0%増)を達成した。これは、世界経済の不透明感が増す中、サスティナビリティ方針と中期経営計画に基づき、M&A等の戦略投資、成長投資、更新投資を効率的に配分し、事業価値向上に努めた結果である。特に、三丸化学株式会社の子会社化が連結業績に寄与した。株主還元としては、2025年10月期の年間配当予想を52円(中間配当26円、期末配当26円)としている。全体として、堅調な業績推移であり、投資家目線ではポジティブな決算発表であったと評価できる。
ナトコ株式会社の2025年10月期第3四半期連結累計期間の業績は、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益の全てにおいて前年同期比で増加した。特に、売上高は9.0%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は23.0%増と顕著な伸びを示した。これは、塗料事業における新規案件獲得や建材用塗料分野での需要増、ファインケミカル事業における一部需要の持ち直し、蒸留事業における新規顧客獲得や既存顧客の需要増などが複合的に寄与した結果である。また、三丸化学株式会社の連結子会社化も業績を押し上げた要因の一つである。
指標 | 2025年10月期(累計) | 2024年10月期(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 16,572百万円 | 15,209百万円 | 9.0% |
営業利益 | 1,001百万円 | 826百万円 | 21.1% |
経常利益 | 1,018百万円 | 935百万円 | 8.8% |
親会社株主に帰属する四半期純利益 | 790百万円 | 642百万円 | 23.0% |
1株当たり四半期純利益 | 104.71円 | 85.15円 | 23.0% |
塗料事業は、全社売上高の約64.6%を占める主要事業である。当第3四半期連結累計期間において、塗料事業の売上高は10,711百万円(前年同期比13.9%増)と大幅に増加した。これは、金属用塗料分野での新規案件獲得や工作機械向け塗料の需要増加に加え、建材用塗料分野での需要増、さらにDICグループからの内装建材用塗料の販売事業譲受が寄与したためである。セグメント利益も819百万円(前年同期比29.1%増)と大きく伸長した。今後も、高機能塗料の開発や環境対応型製品の拡充を通じて、持続的な成長を目指していく。
ファインケミカル事業は、全社売上高の約11.2%を占める。当第3四半期連結累計期間の売上高は1,850百万円(前年同期比3.6%減)と微減となった。スマートフォンのアクセサリーや光学フィルム向けのコーティング剤では需要の持ち直しの兆しが見られたものの、モビリティ(自動車関連)向けのコーティング剤の需要が減少したことが影響した。セグメント利益も399百万円(前年同期比10.1%減)となった。今後は、高付加価値製品の開発や、成長分野への注力により、収益性の向上を図っていく。
蒸留事業は、全社売上高の約24.2%を占める。当第3四半期連結累計期間の売上高は4,010百万円(前年同期比3.2%増)と増加した。車両関係の生産低迷による需要減はあったものの、新規顧客の獲得や既存顧客の需要増、廃溶剤の回収増が売上を押し上げた。セグメント利益も349百万円(前年同期比38.1%増)と大幅に増加した。環境規制の強化やリサイクル需要の高まりを背景に、今後も安定的な成長が見込まれる。
2025年10月期第3四半期において、ナトコ株式会社は三丸化学株式会社の議決権の66%を取得し、連結子会社化した。このM&Aにより、事業領域の拡大とシナジー効果の発揮が期待される。三丸化学株式会社は、化学品事業を展開しており、ナトコ株式会社の既存事業との連携により、新たな製品開発や販路拡大に繋がる可能性がある。
2025年10月期の通期業績予想に変更はない。
指標 | 通期予想 | 進捗率(3Q) |
---|---|---|
売上高 | 22,000百万円 | 75.3% |
営業利益 | 1,450百万円 | 69.0% |
経常利益 | 1,500百万円 | 67.9% |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 980百万円 | 80.6% |
1株当たり当期純利益 | 129.77円 | - |
該当する決算発表は第3四半期決算のため、通期業績予想の記載はない。
2025年10月期第3四半期末の総資産は30,300百万円となり、前連結会計年度末に比べ470百万円増加した。流動資産は減少したが、固定資産が増加した。負債合計は6,262百万円となり、前連結会計年度末から微増した。純資産は24,038百万円となり、465百万円増加した。自己資本比率は78.8%となり、前連結会計年度末の79.0%からわずかに低下した。キャッシュフローに関する詳細な情報は、本決算短信では開示されていない。
ナトコ株式会社の2025年10月期第3四半期決算は、外部環境の不確実性が続く中、堅調な業績を達成した。特に、売上高、営業利益、純利益の全てにおいて前年同期比で増加しており、事業の成長性が確認された。三丸化学株式会社の連結子会社化は、今後の事業拡大に向けた重要な一手であり、シナジー効果による業績への貢献が期待される。塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業の各セグメントにおいても、それぞれ強みを活かした事業展開が進められており、今後の成長ドライバーとなりうる。
投資家目線では、今回の決算発表は、安定した収益基盤と成長戦略の着実な実行を示しており、ポジティブに評価できる。特に、M&Aによる事業拡大戦略は、企業価値向上への期待を高める。世界経済の動向や原材料価格の変動など、外部要因によるリスクは存在するものの、同社はこれまでの実績から、これらのリスクを管理し、持続的な成長を実現していく能力を有していると考えられる。今後の事業展開、特に新規事業や技術開発への投資動向、そしてM&Aの効果がどのように現れるかに注目が集まる。株主還元についても、配当予想の維持は、安定した企業経営と株主への利益還元姿勢を示唆しており、安心感を与える。全体として、ナトコ株式会社は、今後も着実な成長を続け、企業価値を高めていくポテンシャルを秘めていると判断できる。
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