HEROZ株式会社の2026年4月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比7.9%増の15.14億円、EBITDAは同37.3%増の2.28億円、営業利益は同58.3%増の1.17億円、経常利益は同68.6%増の0.94億円となった。一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期の4.57億円の損失から1.14億円の損失へと改善したものの、引き続き赤字となった。これは、主に法人税等調整額の計上が増加したことによる。
全体としては、AIX事業の拡大やBtoC領域における将棋関連サービスの好調が業績を牽引し、増収増益となった。特に、AIエージェントやAI BPaaSといった事業成長施策が奏功し、AIX事業は堅調な伸びを示した。しかし、四半期純利益においては、繰延税金資産の計上等により損失が継続している。
株主還元に関しては、配当は実施されていない。自己株式取得や株主優待に関する記載は見当たらない。
今回の決算発表は、売上高、EBITDA、営業利益、経常利益の全てにおいて前年同期比で大幅な増加を達成しており、事業の成長性はポジティブに評価できる。しかし、純利益の赤字継続は依然として懸念材料であり、投資家目線では、今後の黒字化に向けた具体的な道筋がより明確になることが期待される。
HEROZ株式会社の2026年4月期第1四半期連結業績は、売上高が前年同期比7.9%増の15億1,417万8千円となり、堅調な成長を示した。EBITDAは同37.3%増の2億2,890万7千円、営業利益は同58.3%増の1億1,791万2千円、経常利益は同68.6%増の9,453万4千円と、利益面でも大幅な増加を達成した。これは、AIX事業の拡大やBtoC領域における将棋関連サービスの好調が業績を牽引した結果である。特に、AIエージェントやAI BPaaSといった事業成長施策が奏功し、AIX事業は堅調な伸びを示した。一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期の4億5,713万円の損失から1億1,499万円の損失へと改善したものの、引き続き赤字となった。これは、主に法人税等調整額の計上が増加したことによる。
指標 | 2026年4月期(累計) | 2025年4月期(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 1,514億円 | 1,403億円 | 7.9% |
EBITDA | 228億円 | 166億円 | 37.3% |
営業利益 | 117億円 | 74億円 | 58.3% |
経常利益 | 94億円 | 56億円 | 68.6% |
純利益 | △11億円 | △45億円 | - |
AIX事業は、全社売上高の大部分を占める主要事業である。当第1四半期連結累計期間は、BtoC領域において将棋への注目度向上が続いたことや、イベント実施、BtoB領域における稼働プロジェクト数の増加等の効果により、安定した収益を上げた。BtoC領域については、もともと市場において有している圧倒的なネットワーク外部性に加え、将棋への注目度向上が続いたこともあり、「将棋ウォーズ」「棋神アナリティクス」「棋神ラーニング」ともに安定した収益を上げた。当第1四半期連結会計期間は、棋神戦ヨーロッパ大会や「たんぽぽ杯」等のイベントを実施しており、また、2025年2月にリリースした新サービス「スプリント」の効果等もあって、将棋ウォーズのMAU (Monthly Active User) や対局数は引き続き増加しております。今後も、新規サービスのリリース・機能アップデート・イベント実施などを通じ、ユーザの皆様の満足度向上・将棋人口最大化を追求していく。 また、BtoB領域についても、LLMやAIエージェントに関する投資拡大・注目度向上を受け、稼働プロジェクト数・引き合いの増加等により収益が拡大しております。HEROZのAIソリューション関連事業については、前年同期比で20%弱の成長を達成したほか、「HEROZ ASK」「AIさくらさん」等のリカーリング売上も引き続き増加しており、株式会社ストラテジットが提供する「JOINT iPaaS for SaaS」についても、売上拡大が継続しております。BtoB領域においては、第2四半期以降も見込み案件が多く、引き続き、前期を上回る成長を目指していく。 当セグメントにおいて、LLMの活用・社会実装は事業戦略の中核となるテーマである。その取り組みとして、2024年5月に本リリースした、エンタープライズ向けAIアシスタントSaaS 「HEROZ ASK」 について、継続的に機能向上・事業拡大に努めており、前連結会計年度にリリースした「議事録AI」 「API連携」等の新機能に加え、7月には、「議事録AI」機能のアップデートや「OCR・画像生成」といった新機能リリース、そして8月には新機能「コードインタープリター」等を発表しました。8月末時点での契約顧客数は約300社に達し、なおも売上・契約企業数ともに増加しており、当社のAI BPaaSの中心となるSaaSとして、今後も機能アップデート・事業拡大に取り組んでいく。
AI Security事業は、グループ会社であるバリオセキュア株式会社が提供するインターネットセキュリティ関連の事業である。サイバー攻撃やセキュリティ被害の増加、AIエージェントの潮流の高まり等に伴い、セキュリティ関連の需要も拡大する中で、同社は、従来のゲートウェイセキュリティに加え、エンドポイントセキュリティ対策としてサイバー攻撃の兆候を検知するVarioマネージドEDR、増加するランサムウェア被害(身代金要求型ウイルス)から企業の情報資産を守るデータバックアップ (VDaP)、社内の通信機器の状況を運用監視し、通信環境を脆弱性から守るマネージドLAN/WIFI等の各種サービスにより、増大する脅威に対して多層防御により安心、安全なビジネス環境の構築を支援してきた。また、前連結会計年度より、中堅・中小企業向けサイバー攻撃対策として、セキュリティ対策の構築から運用まで、24/365WORKで請け負う「Vario Ultimate ZERO」を提供している。 同社は、中期経営方針のもと、「提供サービスの対応領域拡大・競争力強化」「成長セキュリティ市場への参入」「既存販売網と異なる新規営業体制の強化」を掲げ、人材の獲得、サービス企画・事業開発の強化、ソフトウェア開発等の事業投資を行う計画を公表し、実現に向けての取り組みを行っている。
当第1四半期連結累計期間において、HEROZ株式会社は、AIX事業の推進を目的として、AIエージェントやAI BPaaSに基づく事業成長施策を強化している。具体的には、生成AI等を駆使し、大幅に自動化されたWorkというかたちで価値提供を行い、社会全体にAIXを起こしていくことを目指している。また、AIを活用したSaaS導入支援や連携開発等にも注力しており、グループ全体でAI技術を最大限に活用しながらAIXを推進していく姿勢を明確にするため、報告セグメントの名称を「AI/DX事業」から「AIX事業」に変更した。これは、AIエージェントやAI BPaaSといった事業成長施策を強化し、従来の特化型エージェント・ワークフロー補助型エージェントなどからさらに進化した、「Meta Agent」(課題分解、ゴール設定、解決策探索・実行までを完全自律的に遂行し、業務全体を再構築できる自律型AIエージェント)の実現を目指す戦略の一環である。
2026年4月期の連結業績予想は、2025年6月13日に公表された数値から変更はない。
指標 | 通期予想 | 進捗率(1Q) |
---|---|---|
売上高 | 670億円 | 2.3% |
営業利益 | 80億円 | 1.5% |
経常利益 | 72億円 | 1.3% |
純利益 | 15億円 | - |
該当する四半期決算発表が4Qの決算発表(通期決算発表)ではないため、このセクションは削除する。
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は80億8,734万5千円となり、前連結会計年度末に比べ6,032万3千円減少した。これは主に、現金及び預金の減少3億2,399万6千円、預け金の増加2億947万9千円があったこと等による。負債合計は28億2,811万6千円となり、前連結会計年度末に比べ1億1,811万4千円減少した。これは主に、1年内返済長期借入金の減少1億800万円、長期借入金の減少2,006万6千円があったこと等による。純資産合計は52億5,922万8千円となり、前連結会計年度末に比べ5,779万1千円増加した。これは主に、非支配株主持分の増加6,726万6千円があったこと等による。キャッシュフローに関する具体的な記載は確認されなかった。
HEROZ株式会社の2026年4月期第1四半期決算は、売上高、EBITDA、営業利益、経常利益において前年同期比で大幅な増加を達成し、事業の成長性が明確に示された。特に、AIX事業の拡大は目覚ましく、AIエージェントやAI BPaaSといった戦略が奏功している様子が伺える。BtoC領域における将棋関連サービスの堅調な推移も、安定的な収益基盤を支えている。これらの点は、投資家にとって非常にポジティブな材料と言えるだろう。
しかしながら、親会社株主に帰属する四半期純利益が依然として赤字である点は、今後の懸念材料として残る。法人税等調整額の増加が主な要因とのことだが、早期の黒字化に向けた具体的な施策や、その進捗状況について、より詳細な情報開示が期待される。
AIX事業においては、LLMの活用やAIエージェントの進化が事業成長の鍵となる。特に「Meta Agent」の実現に向けた取り組みは、将来的な競争優位性を確立する上で重要である。AI Security事業においても、サイバー攻撃の脅威が増大する中で、需要は拡大しており、バリオセキュア株式会社の事業展開が注目される。
全体として、HEROZ株式会社はAI技術を軸とした事業展開で成長軌道に乗っているが、利益面での課題克服が今後の企業価値向上に向けた最重要課題となるだろう。投資家としては、引き続き事業の成長性と、利益創出能力の向上を注視していく必要がある。特に、AI技術の社会実装を推進し、新たな価値創造を目指す同社の戦略が、どのように具体的な収益に結びついていくのか、その動向が注目される。
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