株式会社Mマートの2026年1月期第2四半期(中間期)決算は、厳しい事業環境下においても堅調な成長を維持し、総じてポジティブな内容であった。当四半期累計の売上高は6.74億円(前年同期比8.1%増)、営業利益は3.05億円(同36.2%増)、経常利益は3.05億円(同36.7%増)、純利益は1.96億円(同34.7%増)と、大幅な増益を達成した。これは、買い手会員数の着実な増加と総流通高の伸長が主な要因であり、特に営業費用の減少も利益率向上に貢献した。利益率は営業利益率45.2%、経常利益率45.3%、中間純利益率29.0%と、いずれも高い水準を維持している。
事業面では、UX/UI改善や対話型AIを活用した出品・販売支援ツールの実用化、準大手以上の企業を対象としたバルル事業の本格展開など、流通変革のためのインフラ構築を推進している。これにより、買い手会員数は233,278社(前期末比2.6%増)、総流通高は65.78億円(前年同期比8.2%増)と順調に拡大した。
通期業績予想は据え置きであり、第2四半期累計での進捗率は売上高46.7%、営業利益49.7%、経常利益49.7%、純利益49.1%と、順調な推移を示している。株主還元については、2026年1月期の期末配当予想を1株当たり25.00円と、前年同期の21.00円から増配を計画しており、株主還元への意欲も示している。
2026年1月期第2四半期累計期間の全社業績は、売上高、各利益項目ともに前年同期を大きく上回る結果となった。買い手会員数の増加と総流通高の伸長が売上高の増加に寄与し、さらに採用関連費の減少などによる営業費用の抑制が、大幅な利益率改善につながった。特に営業利益、経常利益、純利益は30%を超える高い成長率を記録し、収益性の高さを示している。
指標 | 2026年1月期2Q(累計) | 2025年1月期2Q(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 6.74億円 | 6.23億円 | 8.1% |
営業利益 | 3.05億円 | 2.24億円 | 36.2% |
経常利益 | 3.05億円 | 2.23億円 | 36.7% |
純利益 | 1.96億円 | 1.45億円 | 34.7% |
株式会社Mマートはeマーケットプレイス事業のみの単一セグメントで事業を展開しており、全社売上高の100%を占める。当中間会計期間において、同社は「流通変革のためのインフラを創る」ことを使命とし、運営サイトの売り手・買い手双方のニーズを的確に捉えた施策を迅速に実行した。具体的には、売り手企業の出品商品の一元管理等を可能とするUX/UI改善を「Mマート」「Bnet」をはじめとする各売り場で継続的に実施している。また、食材の販売サイトでは売り手企業の利便性向上策として、対話型AI(ChatGPT)を活用した出品・販売支援ツールを実用化した。創業以来の「売り手よし、買い手よし、世間よし」の理念に基づき、出店社と協働し共に成長する支援・コンサルティング活動の強化にも努めている。
2025年6月からは、バルル(販売と集金の代行)について、準大手以上の会社(資本金30百万円以上、2億円以下)を対象として本格的に取り組んでいる。Mマートが販売と集金を代行するバルルは、大手売り手にとって新たな収益機会につながるスキームであり、協業として1社ずつ確実に推進している。さらに、営業の自動化・デジタル化も進めており、各売り場のコンテンツを売り手の課題に即して訴求し、メール営業と組み合わせることで自動的に申し込みを得るなど、人を介さない営業手法も展開している。最近では、JF全漁連、JA、全農、大手商社などの大手企業からの問い合わせが増加しており、ネット取引への参画を検討する動きが相次いでいる。これらの取り組みの結果、買い手会員数は当中間会計期間末で233,278社(前期末比5,938社増、2.6%増)と、毎月約1千社の増加ペースを維持している。これに伴い、当中間会計期間における運営サイトの総流通高は、主に「Mマート」市場の伸びが貢献し、65.78億円(前年同期比8.2%増)となった。
株式会社Mマートは、事業提携の強化と新たなサービス展開を積極的に推進している。特に、2025年6月より準大手以上の企業を対象に本格展開を開始した「バルル」事業は、販売と集金の代行を通じて大手売り手企業に新たな収益機会を提供するものであり、同社の事業拡大に大きく貢献する見込みである。この取り組みは、Mマートが協業パートナーとして各企業と連携を深める事業提携の形をとっている。また、対話型AI(ChatGPT)を活用した出品・販売支援ツールの実用化は、テクノロジーを活用した事業効率化と顧客利便性向上に向けた重要な動きである。さらに、JF全漁連、JA、全農、大手商社などからの問い合わせが増加していることは、同社のeマーケットプレイス事業が大手企業からも注目され、今後の事業連携や提携の可能性が拡大していることを示唆している。これらの動向は、同社のプラットフォーム価値向上と市場シェア拡大に繋がる重要な動きである。
2026年1月期の全社業績予想は、2025年3月17日に公表された数値から変更はなく、据え置きとなった。第2四半期累計の実績は、通期予想に対して順調な進捗を示している。
指標 | 通期予想 | 進捗率(2Q) |
---|---|---|
売上高 | 14.44億円 | 46.7% |
営業利益 | 6.14億円 | 49.7% |
経常利益 | 6.14億円 | 49.7% |
純利益 | 3.99億円 | 49.1% |
当中間会計期間末の総資産は28.99億円となり、前事業年度末に比べて2.38億円増加した。これは、順調なビジネスの拡大により、営業未収入金等の営業債権並びに現金及び預金が増加したことが主な要因である。負債合計は9.93億円となり、前事業年度末に比べて1.46億円増加した。主として営業未払金等の営業債務が増加したことによる。純資産合計は19.07億円となり、前事業年度末対比0.93億円増加した。利益剰余金の増加が主な要因である。
キャッシュフローの状況を見ると、当中間会計期間末における現金及び現金同等物(資金)は前事業年度末に比べ1.03億円増加し、20.42億円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは2.28億円のプラスとなり、税引前中間純利益の計上、預り金の増加が主な要因である。投資活動によるキャッシュ・フローは△0.22億円のマイナスとなり、定期預金の預入が主な内容である。財務活動によるキャッシュ・フローは△1.03億円のマイナスとなり、配当金の支払いが主な内容である。
株式会社Mマートの株主還元に関する情報は以下の通りである。
株式会社Mマートの今後の見通しは、国内外の経済環境に不確実性が残る中で、同社の堅実な事業戦略と成長施策が企業価値向上に寄与する可能性を秘めている。国内経済は底堅い成長を維持しているものの、米国保護主義の強まりや食品価格の高騰など、経済全体としては不確実性の高い状況が続く見込みである。特に、帝国データバンクの調査によれば飲食店業界の倒産件数は増加傾向にあり、食材費や人件費などの運営コスト増加が収益を圧迫している状況は、同社の主要顧客層である飲食店にとって厳しい環境が続くことを示唆している。
このような逆風下においても、Mマートは「流通変革のためのインフラを創る」という使命のもと、売り手・買い手双方のニーズを的確に捉えた施策を迅速に実行している。UX/UI改善や対話型AI(ChatGPT)を活用した出品・販売支援ツールの実用化は、プラットフォームの利便性を高め、新規顧客獲得と既存顧客の定着に貢献する。特に、準大手以上の企業を対象としたバルル事業の本格展開は、大手企業との連携を強化し、新たな収益源を確立する上で極めて重要である。JF全漁連、JA、全農、大手商社などからの問い合わせが増加していることは、同社のプラットフォームが大手企業からも高い評価を受け、今後の事業連携や提携の可能性が拡大していることを示唆しており、これは非常にポジティブな要素である。
第2四半期累計の業績は、売上高、各利益ともに大幅な増益を達成し、通期業績予想に対する進捗率も順調であることから、現時点での業績見通しは堅調であると判断できる。利益率も高い水準を維持しており、効率的な経営が継続されている。株主還元においても、増配を計画していることは、株主への利益還元を重視する姿勢を示しており、投資家にとって魅力的な要素となる。
投資家目線で見ると、Mマートは厳しい外部環境下でも、独自のビジネスモデルと積極的なIT投資、戦略的な事業提携を通じて着実に成長を遂げている。買い手会員数と総流通高の継続的な増加は、プラットフォームとしての競争優位性を確立している証拠である。今後の見通しとしては、大手企業との連携がさらに加速し、バルル事業が本格的に収益貢献することで、さらなる事業規模の拡大と企業価値の向上が期待される。ただし、経済全体の不確実性や飲食店業界の動向は引き続き注視する必要があるが、Mマートのこれまでの実績と今後の戦略は、中長期的な成長への期待を高めるものである。
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