株式会社土屋ホールディングスは、2025年10月期第3四半期連結累計期間において、売上高184億30百万円(前年同期比12.4%減)、営業損失13億17百万円(前年同期は営業損失11億39百万円)、経常損失12億95百万円(前年同期は経常損失11億3百万円)となった。親会社株主に帰属する四半期純損失は10億43百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失8億52百万円)となった。 北海道経済は緩やかな回復基調にあるものの、物価上昇や住宅ローン金利の先高観などにより個人消費には足踏みが見られる。住宅・不動産業界においては、建築基準法改正や確認申請手続きの見直しによる建築確認申請の審査期間長期化が、新設住宅着工戸数に影響を与えている。 このような状況下、同社は「豊かさの人生を創造する」企業使命のもと、中期経営計画2027を策定し、「住生活総合産業として北海道No.1企業の復活と、仙台に第2の本拠地基盤を確立」を目指している。 株主還元としては、2024年10月期の年間配当金は10円であった。2025年10月期の年間配当予想も10円となっている。自己株式取得に関する記載は確認されていない。
2025年10月期第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が前年同期比12.4%減の184億30百万円となった。これは、住宅・不動産業界を取り巻く厳しい環境、特に建築確認申請の審査期間長期化による影響が大きく、住宅事業、リフォーム事業、不動産事業の各セグメントで売上高が減少したためである。営業利益は、売上高の減少に伴う売上総利益の減少や、販売費及び一般管理費の増加などにより、営業損失13億17百万円となった。経常利益も同様に、営業損失の拡大等により経常損失12億95百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純損失は、法人税等調整額(益)を計上したものの、営業損失等の影響により10億43百万円となった。 なお、同社グループの業績には季節変動があり、第1四半期及び第2四半期に比べ、第3四半期及び第4四半期に完成する工事の割合が大きい。
指標 | 2025年10月期(累計) | 2024年10月期(累計) | 前年同期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 18,430百万円 | 21,037百万円 | △12.4% |
営業利益 | △1,317百万円 | △1,139百万円 | - |
経常利益 | △1,295百万円 | △1,103百万円 | - |
純利益 | △1,043百万円 | △852百万円 | - |
住宅事業は、非住宅物件の引渡しの減少により、売上高は113億90百万円(前年同期比8.9%減)となった。営業損失は9億94百万円(前年同期は営業損失10億87百万円)となった。建築確認申請の審査期間の長期化による影響により、第3四半期における建築着工に1か月程の遅れが発生している。この遅れは、今後の売上にも影響を与える可能性がある。また、北海道・東北エリアにおいては、新設住宅着工戸数が前年同期比32.1%減と市場環境が厳しくなっている。同社は、この状況下でも「豊かさの人生を創造する」企業使命のもと、中期経営計画2027の達成に向け、事業運営を進めている。
リフォーム事業においては、期初の受注残高の減少を補うことができなかったことから、売上高は23億99百万円(前年同期比3.6%減)となった。営業損失は2億22百万円(前年同期は営業損失1億86百万円)となった。市場環境の変化に対応し、顧客ニーズに合わせた提案力の強化や、新たな販路開拓などが今後の課題となる。
不動産事業においては、前期に大型の不動産売買取引があった反動減などにより、売上高は46億36百万円(前年同期比21.2%減)となった。利益面では、売上高の減少に伴う売上総利益の減少から、営業利益は49百万円(前年同期比78.3%減)となった。不動産市場の動向を注視しつつ、収益性の高い物件の確保や、新たな事業機会の創出が求められる。
賃貸事業においては、売上高は3億73百万円(前年同期比2.5%減)、営業利益は70百万円(前年同期比6.7%減)となった。安定した収益基盤を維持しつつ、物件の維持管理や、入居者満足度の向上に努めている。
記載なし
2025年10月期の連結業績予想は、2025年9月12日に修正されている。売上高は320億円(前期比3.8%減)、営業利益は5億円(前期比96.7%減)、経常利益は5億円(前期比97.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億円(前期比99.3%減)と予想されている。第3四半期までの進捗率は、売上高が約57.6%、営業利益が約△263.4%、経常利益が約△259%、親会社株主に帰属する当期純利益が約△208.6%となっている。通期業績予想に対する進捗率は、特に利益面でマイナスとなっており、下期での挽回が課題となる。
指標 | 通期予想 | 進捗率(3Q) |
---|---|---|
売上高 | 32,000百万円 | 57.6% |
営業利益 | 500百万円 | △263.4% |
経常利益 | 500百万円 | △259.0% |
純利益 | 500百万円 | △208.6% |
該当なし
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、不動産事業支出金、販売用不動産及びその他の増加、現金預金、完成工事未収入金等の減少により、前連結会計年度末に比べ32億22百万円増加し、304億13百万円となった。負債は、工事未払金等、未払消費税等の減少、短期借入金及び未成工事受入金の増加により、前連結会計年度末に比べ41億6百万円増加し、183億69百万円となった。純資産は、季節的要因による利益剰余金の減少等により、前連結会計年度末に比べ8億83百万円減少し、120億43百万円となった。 キャッシュフロー計算書は作成されていないため、詳細な分析はできない。
株式会社土屋ホールディングスの今後の見通しは、厳しい外部環境と内部要因が複合的に影響し、投資家にとっては慎重な見方が求められる状況である。 まず、外部環境としては、北海道経済は緩やかな回復基調にあるものの、物価上昇や住宅ローン金利の先高観が個人消費の足かせとなる可能性が指摘されている。特に、同社が主戦場とする住宅・不動産業界においては、建築基準法改正や確認申請手続きの見直しによる建築確認申請の審査期間長期化が、新設住宅着工戸数に顕著な影響を与えており、これが当社の住宅事業、リフォーム事業、不動産事業の業績に直接的なマイナス要因となっている。特に、北海道・東北エリアにおける新設住宅着工戸数の大幅な減少は、地域経済の動向とも連動し、今後の事業展開において無視できないリスク要因である。 内部要因としては、中期経営計画2027の達成に向けた取り組みを進めているものの、第3四半期までの業績は、売上高の減少に加え、特に利益面での大幅な落ち込みが見られる。通期業績予想に対する進捗率も、売上高は一定水準を確保しているものの、利益面ではマイナスとなっており、下期での大幅な挽回が不可欠である。これは、季節変動による影響も考慮されるものの、現状の事業構造や収益性を改善するための抜本的な対策が求められていることを示唆している。 「豊かさの人生を創造する」という企業使命のもと、北海道No.1企業の復活と仙台への第2本拠地基盤確立を目指す同社の戦略は、長期的な視点では魅力的である。しかし、足元の業績低迷と厳しい市場環境を踏まえると、その実現には、事業ポートフォリオの見直し、コスト構造の抜本的な改善、新たな収益源の確保、そして何よりも、建築確認申請の遅延といった構造的な課題への対応策が急務となる。 投資家目線では、現時点ではポジティブな要素よりもネガティブな要素が目立つ決算発表と言える。株主還元については、配当予想は据え置かれているものの、自己株式取得に関する情報がない点は、株主価値向上への積極的な姿勢が見えにくいという印象を与える可能性がある。 今後の見通しとしては、下期における業績回復のペースと、それに向けた具体的な施策の実行力が、同社の企業価値を左右する重要な鍵となるだろう。市場環境の改善を待つだけでなく、自社の強みを活かし、変化に強い事業基盤を構築していくことが、投資家からの信頼回復に繋がるであろう。
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